自傷行為・リストカット症候群の原因 | 理由があるのをご存じですか

 アメリカ精神医学会が,「今後の研究のための病態」としている。『非自殺的な自傷行為』をご紹介します。一つの自傷行為に限らず、「リストカット症候群」または「自傷行為症候群」と呼べるような広い範囲に当てはまりそうですね。以下、引用します(DSM-5精神疾患の診断-統計マニュアル、高橋三郎・大野裕監訳、医学書院、2014ページ796より)

自殺の意図はない-年間5回以上自傷行為がある

A,その損傷が軽度または中等度のみの身体的な傷害をもたらすものと予想して(すなわち,自殺の意図がない),出血や挫傷や痛みを引き起こしそうな損傷(例、切創,熱傷,突き刺す,打撲,過度の摩擦 )を,過去1年以内に,5日以上,自分の体の表面に故意に自分の手で加えたことがある。
注)自殺の意図がないことは,本人が述べるか,または,死に至りそうではないと本人が知っている。または,学んだ行動を繰り返し行っていることから推測される。

「ストレスから逃れたい」というはっきりした理由がある

B,以下の1つ以上を期待して自傷行為を行う。
(1)否定的な気分や認知の状態を緩和する。
(2)対人関係の問題を解決する。
(3)肯定的な気分の状態をもたらす。

注)望んでいた解放感や反応は自傷行為中か,直後に体験され,繰り返しそれを行うような依存性を示唆する行動様式を呈することがある。

直前にうつ気分・不安・葛藤などが存在

C,故意の自傷行為は,以下の少なくとも1つと関連する。
(1)自傷行為の直前に,対人関係の困難さ,または,抑うつ,不安,緊張,怒り,全般的な苦痛,自己批判のような否定的気分や考えがみられる。
(2)その行為を行う前に,これから行おうとする制御しがたい行動について考えを巡らす時間がある。
(3)行っていないときでも,自傷行為について頻繁に考えが浮かんでくる。

D,(様々な自傷のやり方やこの診断から除外するべきものが書かれています)

自傷行為によってとても困っている | 他の精神的な病気の一部ではない

E,その行動または行動の結果が,臨床的に意味のある苦痛,または対人関係,学業,または他の重要な領域における機能に支障をきたしている。

F,その行動は,精神病的エピソード,せん妄,物質中毒または物質離脱の間だけに起こるものではない。神経発達障害をもつ人においては,その行動は反復的な常同症の一様式ではない。その行動は,他の精神疾患や医学的疾患(例、精神病性障害,自閉スペクトラム症,知的能力障害,レッシュ-ナイハン症候群,自傷行為を伴う常同運動症,抜毛症,皮膚むしり症)ではうまく説明されない。

 以上のとおりです。リストカット・自傷行為が「苦痛から逃れたい」というやむにやまれぬはっきりとした理由がある行動であることが理解できると思います。