リストカット・複雑な場合 | 人格障害との絡み

境界性パーソナリティ障害

 「自傷行為をする人は周囲にメッセージを出している」と前提しない方がいい場合も多いです。リスカ等を秘密にやっている場合はこのまま放って置いて欲しいと思っている場合も珍しくありません(だからといって放置はできませんが)周囲に対応してほしいと思っているのは分かるようにやっている場合です。「わざと周囲にわかるようにやっている」場合には人格障害が絡んでいることを考えなければならない場合があります。

 リストカットの中でパーソナリティ障害と合併しているケースは要注意です。林直樹らの研究では自殺関連行為による入院者130名のうち約半数が境界性パーソナリティ障害だったとされています。境界性パーソナリティ障害の診断基準の一つに自傷行為があげられています。特別な注意が必要です。

 リスカが周囲を動かせる事に気づいて周囲に要求を呑ませるための脅しとして使うようになる場合もなきにしもあらずです。。「やってくれないから切った」とご家族がリスカの主犯にされる事もあるかも知れません。本人の言うとおりにやってやれば、それが強化子となりリスカが促進させることもあります。それに応じていると、他人への要求がリスカ頼みに狭められてしまう場合があります。できない理由を述べて断ることも必要です。

 境界性パーソナリティー自体への対処としては弁証法的行動療法がアプローチの第1洗濯とされています(米国の場合)。弁証法的行動療法は瞑想・個人面接・電話面接・グループアプローチなどを組み合わせた総合的なアプローチで、日本で本格的にやっているところはまだほとんどないのではないかと思われます。

回避性パーソナリティ障害その他

 リストカッターと合併が次に多いパーソナリティ障害が回避性パーソナリティ障害とされています。これは自分に自信がなく他人からの拒絶を前提にしてしまうタイプです。一方対人関係への憧れも強いので周囲からは傷つきやすいシャイネスに見えます。対人関係で葛藤とストレスを抱え込みやすい性格です。この場合には、他人にわざわざ知られるようにやることはあまりありません。

 リスカする人達のパーソナリティ障害で多いものとして境界例・回避性に続くのは反社会性と強迫性という好対照なものが挙げられます。反社会性は刺激が欲しい、リスカを交渉材料に使いたいというところがあるかも知れません。完璧主義の強迫性パーソナリティ障害の場合はため込んだストレスの発散のためかも知れません。

 人格障害の方は境界性パーソナリティー障害や反社会性パーソナリティ障害は難治であり、回避性パーソナリティ障害・強迫性パーソナリティ障害は比較的治療しやすいとされます。境界性パーソナリティー障害や反社会性パーソナリティ障害も時間はかかりますが、修正は不可能ではありません。