リストカット・自傷にご家族はどう対応するか | 有効な言葉かけは?

「身体の傷」への思いやり

 リストカット直後に叱責・説教を行うのは不毛ですが、これは周囲がショックを受けて「攻撃してでも一刻も早く終わらせなければ」と動転している場合がよくあります。特にリスカに周囲に対するメッセージ性がある場合、伝達するには行為が衝撃的なので周囲が防衛的になっている事があります。

 ご家族がリスカ、過食などを「これさえなくなれば」と力を入れてしまうのは自然なお気持ちだと思います。しかし問題の一点にだけ焦点を当てるとそこがクローズアップされ逆に強固な問題になりかねません。焦って説得などに走りがちですが叱責は解決に殆ど効果になりません。

 リスカ直後は優しい言葉かけは傷への配慮に限定していいのではないかと思います。ストレス発散のドライブも多少時間が経ってからの方がいいかも知れません。「あなたの身体は大切なものである」という事が伝わるように(それが何度目の事であっても)処置をします。周囲が動転すると本人の動揺も大きくしてしまいます。穏やかな暖かい態度が理想的です。この場面での言葉の応酬はあまり稔りがありません。ガーゼで圧迫して止血、消毒、傷口保護など家庭でできる処置を行い、傷が深い時は医療機関に助けを求めます。

 「気持ち」の問題も「言いたいことがあればいつでも耳を傾ける」話しやすい和やかな空気があればいいのではないでしょうか。気持ちを問うた所で説明できるぐらいならリスカはしないでしょう。

 リスカした本人から言わない限り「話したくなったらいつでも話しを聞く」という姿勢を明示しておけば十分であり、「どうしてやった?」と執拗に聞くのは不要でしょう。リスカに関しては「もう痛みはなくなった?」「その塗り薬あってる」等あくまで「身体の傷」への思いやりの言葉をかける方が中心です。

 リスカした本人から言わない限り「話したくなったらいつでも話しを聞く」という姿勢を明示しておけば十分であり、「どうしてやった?」と執拗に聞くのは不要でしょう。リスカに関しては「もう痛みはなくなった?」「その塗り薬あってる」等あくまで「身体の傷」への思いやりの言葉をかける方が中心です。

 リスカに対して一度家族話し合いの場をもうけるのはいいことでしょう。しかしそこで当事者の口から心理的理由が出なければ、「なぜあんなことしたの?」と深追いする必要はありません。本当はストレス発散のための一方法に過ぎないのに無理に心理的な理由をこじつけてしまう事もあります。

動転し混乱するのは当然

 リストカットに直面した家族が動転し混乱するのは当然の事です。リスカを秘密にしようとこだわると家族の孤立感は深まります。家族の安定のための最良の方法は専門家や信頼できる関係者と治療同盟を結ぶ事です。適切な専門家から見立てやアドバイスを受けることは家族を心強くします。ただし、家族を強引に引きずり回すような専門家、家族を非難する専門家はこのような役割を取ることはできません。

 実際には「患者家族に安心感を与えてくれる治療者」はなかなかいません。結構長い自分の患者家族(長女の事ではない)としての経験からそう思わざるを得ません。それ以前に「患者の家族に会う」事が仕事の一部であるという観念が希薄です。ついで仕事に見られがちです。