リストカット・何故やるのか | リストカットによって得られるもの

ストレス緩和の手段として

 DSM5診断基準案はリストカット・抜毛症等の非自殺的な自傷行為は「死にたいからやる」のではなく、ストレスを自傷行為の痛みで緩和するために行われるとします。苦悩を周囲に気づいてもらう等成果を上げる事があってもストレス緩和の主要な方法になってしまい依存的になる危険があります。

 ここでいう非自殺的な自傷行為は抜毛症・リストカット・頭を壁にぶつける・自分でやけどを作る・皮膚むしり症・常同症の自傷行為などのことです。
 リスカ等自傷行為は何からの目的を持っています。その根底には「精神的苦痛(ストレス・空虚感・孤独感など)よりも身体的痛みの方がまし」という感受性があります。精神的な痛みは、本人もよく掌握できず、すぐに解決できず生活全般を覆っています。これに対して、傷の方は限定されており対処可能です。

 つまり、自傷行為は当事者にとっては何らかの機能を持った行為なのです。「何かの目的を達成するための方法」が自傷行為以外になくなってしまっている所に問題があります。習慣化すると 本人も 何のためにやっているのか分からなくなり「止められない」という無力感に陥りがちです。
 自傷行為(リスカ等)の機能には、体の痛みによって心の痛みを紛らわせる・空虚感から血・痛みによって「生きている実感」取り戻す・激しい感情を、自分に当たることによってコントロールするなどがあります。
 この「体の痛みによって心の痛みを紛らわせる」「空虚感から血・痛みによって「生きている実感」取り戻す」「激しい感情を、自分に当たることによってコントロールする」はリストカットによってリストカッターたちが得ようとしている体験ですので、頭にとどめておいていただきたいと思います。一見破壊的に見える不毛な行為でも、当事者にとっては「利」があることは忘れてはなりません。他の手段が見つからず、自傷行為に頼り切るようになることが問題なのです。そして彼らが求める「利」を他の方法で得られるようになることが、リストカットから抜け出す重要な手段になります。

周囲の影響による場合もある

 リストカットには自殺と同様、流行現象が見られます。特に、学校の女子グループの中で流行し、自傷の心理的必要がない若者まで巻き込まれてしまうことがあります。また、タレントのリストカット経験が知られると、模倣的なリストカット件数が増えることもあります。1997年のイギリス王室ダイアナ妃の死の際には世界的に女性の間で自傷行為の増加が見られたそうです。

 欧米でリストカットが最初に報告され始めた時にもこのような流行現象があることが指摘されていたようです。アメリカでは1960年代から増加が見られ、それが日本に入ってきたのが1970年代とされています。