パニック障害入門 | その概観と対処法の原則

パニック障害とは | 主要な症状はパニック発作

 パニック障害は,突然パニック発作が起こるということが繰り返されるものです。
 パニック発作とは次のようなものです。

 この基準は13のチェック項目があり、4つ以上当てはまるとパニック障害の可能性があるとされています。

● 心臓がドキドキしたり、脈拍が増加する
● 手の平や、全身に汗をかく
● 体や、手足がふるえる
● 息切れ感や、息苦しさを感じる
● 窒息感、または喉(のど)が詰まった感じがする
● 胸の痛みや圧迫感、不快感がある
● 吐気や腹部の不快感がある
● めまい、ふらつき、または気が遠くなるような感じがする
● 現実感が失われ、自分が自分ではない感覚が起こる
● 自分をコントロールできなくなる恐怖や、気が狂う恐怖に襲われる
● このままでは死んでしまうという恐怖を感じる
● 体の一部にしびれ感や、うずきを感じる
● 冷たい感じや、ほてった感覚がある

 パニック障害の最初の症状は、突然の動悸や呼吸困難、発汗、めまいなどの身体症状とともに強い不安や恐怖感を伴うパニック発作です。
 パニック発作自体は、多くの場合20~30分くらいでおさまりますが、何回か繰り返すうちに、また発作を起こしたらどうしようという、パニック発作に対する強い恐怖感や不安感が生まれるようになります。
 これは、「予期不安」といわれます。
 予期不安は、逃げ場のないような場所でのパニック発作や、発作を他人や大勢の人に見られることの恥ずかしさといった不安や恐怖を生み、大勢の人が集まる場所や、過去に発作を起こした場所を避ける行動をとるようになります。これが、「広場恐怖(外出恐怖)」といわれます。
 「パニック発作」と「予期不安」、「広場恐怖」はパニック障害の3大症状といわれる特徴的な症状であり、この3つの症状は、悪循環となってパニック障害をさらに悪化させます。パニック障害が悪化すると、人前に出るのを嫌って閉じこもるようになり、正常な社会生活が維持できなくなります。さらに悪化すると、うつ病を併発することもあります。

パニック発作で問題を引き起こすのは発作への予期不安

 パニック障害の一番の問題は,パニック発作がおこることではありません。「パニック発作がまた起こるのではないか」という予期不安から,社会的行動が制限されてしまうことです。例えば,スーパーでパニック発作が起こった後,また起こったらどうしようとスーパーに買い物に行けなくなるなどです。ひどい場合は,家の中にしかいられなくなる場合もあります。
 当然そういった自分を否定し,この辛い状態がいつまで続くのか暗澹たる思いに至り,うつ病に至るケースもよくあります。

パニック発作があまりにも苦しく、すぐに治したい時には薬物療法を試してみます

 パニック発作が繰り返されたら,すぐに治したい人、発作が耐えがたいほど苦しい人は、心療内科や精神科を受診しましょう。
 まず,薬物療法を受けることをお勧めします。
 脳内伝達物質のノルアドレナリンとセロトニンの不均衡に働きかけます。まず,薬物療法で脳内伝達物質の不均衡を是正し,パニック発作になりにくいようにします。使用される薬剤には、「SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)」「抗不安薬」「三環型抗うつ薬」などですが、
 一般的に現在効果的な薬物は「SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)」です。この薬の効果は2~4週間かかります。
 薬に抵抗がある方も多いでしょうが、しかし,脳内で確実に神経伝達物質に作用してくれます。速く発作を抑えたい人は、ここは薬を信じましょう。これは後にご説明します。
 また,よくなったから薬を自分の判断でやめるのは絶対にやめましょう。主治医と相談の上で少しずつ減らしてもパニック発作が起こらないことを確認しながら、減らしてゆきます。良くなったとしても,普通は投薬を半年から1年は続ける場合があります。これは,再発を防ぐためです。
 一方で、軽いパニック障害は、私達の経験では最短で3,4回の面接で問題にならないぐらいに軽減してしまう場合もあります。

重いパニック障害にはじっくり構えて

 パニック発作は苦しい症状ですが、幸い直接生命を脅かすものではありません。SSRIなどによる適切な薬物療法で改善します。心理療法を薬物療法に組み合わせるとさらによい効果が得られるといわれています。
 軽いパニック障害は以外と短期間の心理面接で改善しますが、重いパニック障害は、治療には2 ~3年という長い年月が必要です。ご家族など、周りの方がこの病気のことを理解して支えてあげることが大切です。