うつ病の薬物療法 | 効果が現れるまでの期間と副作用

 うつ病の薬物療法の効果は6週間前後で現れます。そして3ヶ月~半年ぐらいで良くなると言われています。
 うつ病の薬物療法では,抗うつ薬が中心に使われます。それに抗不安薬,睡眠薬などが患者さんに応じて使われます。
 ここではメインとなる,抗うつ薬についてざっとあげましょう。(但し日本でよく処方する薬のみです)
従来型
三環系,四環系抗うつ薬

・三環系
イミドール,トラフニール,アナフラニール,アモキサン
・四環系
ルジオミール,テトラミド,テシプール

新世代薬
・SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)
デプロメール,ルボックス,パキシル,ジェイゾロフト
・SNRI(選択的セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)
トレドミン,サインバルタ
・NaSSA(ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬)
レメロン,リフレックス

 従来型はうつの直接原因ではない神経伝達物質にも作用し,その分,副作用が大きいのが問題でした。
 しかし,新世代薬ではうつと直接関係がある神経伝達物質,セロトニンやアドレナリンに作用する点では,副作用の毒性が弱くなります。
 ですから,一般的には,新世代薬が第一に処方されます。そして,重症や難治の場合に,二番手として従来型が処方されます。
 もちろん,個人差がありますのでどの薬が良いのかは医師が考えて処方します。
 ところで薬物療法と聞くと,みなさんは「副作用が怖い」と真っ先にお感じになるのではないでしょうか。
 個々人によって副作用の出方は,様々です。特に消化器症状が出やすいと言われます。
 しかし,2週間もすればおさまることが多く,ここは頑張って薬物療法を続けて下さい。必ず効き目は現れます。普通は薬が効いたと感じるまで6週間ぐらいはかかります。

「治らないうつ」には医師とのコミュニケーション不足があるのかも知れません

 うつ病の90%は比較的早く回復します。
 残り10%は難治でありますが,薬物療法と心理療法の組み合わせで,期間は長くなりますが,良くなります。

 それにしても,どうして最近「治らないうつ」が増えているのでしょうか?どうして何年も通院しているのでしょうか。
 私は,治療者と患者のコミュニケーション不足が一番大きな障壁になっていると思います。
 相談に来る方の中で、他の医療機関に相談に行っているかたもいます。しかし,それでも良くなるどころか悪くなったという方もいます。(良くなっている人が来ないだけなのかも知れませんが)
 よく,「医師は薬を出しているだけ」という話を聞きます。悪い場合は医師と大げんかしてしまう事もあります。
 ある方は「症状を訴えればすぐに薬が増えるだけだった」とこぼしていました。
 ドクターも忙しく、面接時間が十分に取れないことも多いのです。現在の日本の医療の中では制度的な困難がありますが、医師-通院者が協力し合ってよりよいコミュニケーションを取り適切な処方が受けられることが大切ですね。

治すぞとというモチベーションが薬物療法には必要です

 「精神科の薬がよくわかる本」の著書である,医師姫井昭男さんは,薬物療法についてこのように述べています。
 精神科の薬の本来の役割は,「神経伝達物質の機能不全を,自己修復する際の補助ないし補強の役割である」という説明をします。
 そして「薬が治してくれるのを待つ」のではなく,「自分自身に備わった機能を最大限に発揮させ,メンタル障害を克服していくことを治療方針に決めます。するとそれだけで,患者さん自身に能動的に治療に参加する姿勢が生まれてきます。何年治療を受けても改善してなかったケースが,そうした説明をするだけで,処方内容を変えていないにもかかわらず,回復をみることが少なくないのです。」

 長い引用になりましたが,まず医師は「薬物療法で何ができるのか,病気を治すためには患者さん自身がどう努力したらいいのか」など話合うべきです。
 しかし,私が聞いたほとんどの医師は,説明不足です。
 アドヒアランスという用語があります。この用語は,「患者が主体的に治療に取り組み,治療者と共に決定した治療方針にそって治療を受ける」という能動的な姿勢を意味します。
 ですから,「この病気がなおったら~したい」ということを診察場面で言う,家族や会社の人に言うなどしてできるだけ目的意識をもつことが必要です。部屋の壁に目標を書いて貼っておくなどしてもいいでしょう。

 なお,なかなか良くならない人は,セカンドオピニオンを探して相談してみることも考えておいた方がいいと思います。
 薬物療法がすることは,脳内神経伝達物質の不均衡を改善する事です。ですから,適切な薬物療法は大きな効果を発揮します。